君を守りたい


「…ねぇ。陽路ちゃん知ってた?」

「?」


何かを懐かしむような表情を浮かべる慈朗。彼から唐突に切り出された質問に、あたしはただ首を傾げる。


「…俺さ、陽路ちゃんが俺の髪を好きだって、綺麗だって言ってくれたから、この髪、嫌いじゃなくなったんだよ。」


そう発された言葉に、再び思いだされるあの日のこと。こんなに綺麗な自分の髪を、“大嫌い”だとか“コンプレックス”だと言って、悲しそうにうつむいた慈朗の姿。


「陽路ちゃんのおかげで自信持てるようになったから、今はむしろ、俺の自慢なんだ。」


そんな慈朗から、こんな言葉が聞けるなんて。思いがけないという気持ち以上に、コンプレックスを克服してくれたことが素直に嬉しい。