もう、ほとんど人がいない閑散とした公園。
一昨日、礼二たちと待ち合わせた場所。今一緒にいるのが慈朗なんて、何か不思議な感じだ。

2人ゆっくり歩き、たどり着いたのは公園の隅にある大木の下だった。慈朗がそっとその幹に触れる。そういえばここは…、


「…昔ここで、初めて陽路ちゃんと話したね。」


そう。慈朗とあたしが、初めて言葉を交わした場所。


「そうだね。なつかしー。何か見覚えがある子だなぁって思って声かけたら慈朗だったんだよねー。」

「うん、そうそう。部活の先輩たちに髪の色文句言われてふて寝してたら、陽路ちゃんが声かけてくれたんだ。」


木からあたしに視線を移し、ニコッとほほえむ慈朗。その笑顔がすごく愛しくて、思わずあたしは慈朗に抱きついていた。