海星大の最寄り駅からだいたい40分間電車に揺られ、やっと目的の駅に着いた。
ホームの時計を見るともうすぐ18時。そろそろ慈朗たちの部活も終わる頃だろう。

駅からそんなに遠くない凌葉学園。茜色に染まりかけた空の下、駆け足で向かう。少し額に滲む汗に、時折吹く涼しげな風が心地よい。

学園前公園の横を通り、ようやく凌葉学園についた。
高等部のテニスコートは、比較的校門に近いところにある。耳を澄ませば、そこからはまだ数人の声が聞こえてきた。だからあたしは、校門前で目的の人物が出てくるのを待つことにした。

壁にもたれ掛かり、ただひたすら待つ。不審者対策で校内に勝手に入れないのが、今のあたしには不便で仕方ない。けれどさすがに、どうしようもない。

でも、他校の制服を着ているあたしは嫌でもかなり目立つ。これじゃあ、あたしが不審者に見えても仕方ないじゃないか。