「大崎先輩。謝ることではないですよ。寿也から先輩をフったんでしょう?なら、寿也には寿也の想いがあるんです。だから、謝らないでください。」


これ以上の謝罪は、余計寿也を傷つけるってこと、昨日、自分でもそう思ったはずなのに。

改めて晴人に言われちゃうなんて、あたし、何やってんだろ?

うつむいたあたしに、晴人は続ける。


「今日、凌葉に行ったら…。もう後悔しないように、“彼”に自分の気持ちを、ちゃんと伝えてきてくださいね。」

「…あたしが“慈朗”に会おうとしてることも、気づいてたんだ…?」

「まぁ、一応…。」


そう答えた晴人は、いつもと同じ優しい笑みを浮かべていた。