どちらともなく、ゆっくりと体は離された。感じていたぬくもりが消え、少しばかり冷たい風があたしたちの間を吹き抜ける。

いつの間にか人がまばらになった公園。その奥にある、目立たないベンチ。そこであたしたちの関係は始まり、今、終わりを告げた。


「…さて、と。じゃあ先輩、また明日から部活頑張りましょーね!俺、高体連死ぬ気で頑張りますから!」


何事もなかったようにそう口を開いた寿也に、思わず頬がゆるむ。


「うん、頑張ってね。っていうか、頑張ろう!団体二連覇、目指そうね。」

「もちろんッス!」


謝ってばかりのあたし、だけど最後は。
大好きな君に、笑顔がまぶしい君に、「ごめん。」じゃなくて、心からの「ありがとう。」を。