「…寿也、ありがとう。」


思わず口から出た言葉は、もう謝る言葉なんかじゃない。だってこれ以上「ごめん。」なんて言ったら、それこそ寿也を傷つけてしまうだろうから。

それに今、あたしが心から伝えたいのは、

“ありがとう”

その言葉。


「あたし、寿也のことも大好きだったよ。あたしも寿也に会えて、本当によかった。」

「…はい。」


強まる、抱きしめられる力。
でもこれを離したらもう、このぬくもりはあたしのものではない。

今まであたしは、何度この手に助けられただろう?何度このぬくもりに安らぎを覚えただろう?
寿也がいてくれてよかった。
それはあたしの本心。