でも何か、やっぱり話し出しにくい。こういうとき、何て話し出したらいいのかイマイチわからない。

寿也からあたしを呼んだってことは、寿也もあたしに用事があるってことだし…。

お互い話しあぐね、口を開かない。そんな沈黙の中では、子供たちの笑い声がやたらと大きく聞こえた。


「……あの、陽路先輩。合宿のときはエラそうなこと言ってすみませんでした。俺、マジで何にもわかってないクセに。自分の想いだけぶつけて…」


沈黙に耐えられなくなったのだろうか、寿也が先に口を開いた。紡がれたのは、何故か謝罪の言葉。

でも、その謝罪は間違ってる。
だって……、


「寿也があたしに言ったことは、間違ってないよ。」


寿也はあたしに、何にも謝る必要はないのだから。