「美香が言ってた自分が一番じゃなきゃダメって気持ち、それ自体はわからないワケじゃない。でもアンタは、やり方を間違えた。」

「だから、それが何だって言うのよ!?」


美香の苛立ちが増すのが、見ていてもわかる。だけどあたしの気持ちを今、言わないわけにはいかない。


「今になって自分の過ちをわからないほど、美香もバカではないでしょ?もう、終わりにしたい。あたしもこれ以上過去に囚われるのは、まっぴらなの。」


うつむいた美香が、唇を噛みしめているのが見えた。過去を思い出すあたしの目頭も、次第に熱くなってくる。

でもここで、美香に涙を見せたくない。
見せたらダメだ。だから…


「ただ美香に、自分のしたことの事の大きさを、もう一度考えてみてほしい。」


そう言い残して、美香の家を出た。