「…美香、あたし。陽路だけど。」
「…………開いてるから、入ってきて。」
言っていた通りドアには鍵はかかっておらず、あたしはそのまま家に入る。どうやら、美香の両親は不在のようだ。
そして周りを見渡しながら進むと、リビングのソファーの上に腰掛ける美香の姿を見つけた。
合宿で会ったときより痩せ、疲れているようにも見える。いつもの高慢な態度が、見る影もない。
「美香?」
「…っ!…何しに来たのよ?化けの皮が剥がれたあたしを、嘲笑いにでも来たわけ?」
冷たい目をあたしに向けて叫ぶ姿は、ただただ美香の心がズタズタになっていくさまをあたしに見せているだけだった。
今ほど“自業自得”の言葉の意味を、生々しく感じたことはない。