「…あたし、美香に会ってくる。だからそろそろ行くよ。お金置いとくから、会計よろしくね。」
財布から飲み物の代金を出し、机に置く。カバンを持ち、店内の時計で時間を確認してから三人に背を向けた。
「大崎…っ!」
呼ばれてるけど、もう振り向かない。
またどうせ謝罪の言葉でしょ。それならいらない。
外に出ると、明るい日差しがあたしに降り注いだ。まるであたしの進むべき道を照らすように。
あとは美香と話すだけ。今日で凌葉での問題にケジメをつけて、スッキリとした気持ちで家に帰ろう。そして今度はしっかりと、寿也と話すんだ。
だからもう少し。もう少しだけ…。
あたしは美香の家に向けて、歩き出した。