指定された時間は11時。移動には電車で40分はかかるから、急いで支度をした。

財布と携帯だけポケットに入れて家を出、駅まで走る。駅に着く頃には、相変わらず降り注ぐ日光に額に軽く汗が滲んでいた。

久しぶりに向かう、凌葉学園の方面。
学園前公園なんて、もう、何年行ってないんだろう。
恐怖心はだいぶ無くなってきたものの、やはり少し緊張する。

あまり人が多いとは言えない、土曜日朝のホーム。遊びに行くのであろう中高生や、釣りなどに向かうのであろうおじさん達とともに、目的の電車を待つ。

どうやらその電車は10分程度遅れているらしく、まだ入ってこない。不意に生じてきた不安をかき消すように、あたしは大きく頭をふった。