「涼夜?」

『っ…!恥ずかしいからもう切るよっ!じゃあね!!』


ブチッと音を立てて切られた電話。
最後はよくわからなかったけれど、涼夜の電話で気分が明るくなったのは事実。ちゃんと寿也と向き合おうと思えたのも、事実。

そして脳内では、バスで雅樹に言われた言葉がリフレインする。

“傷つくこと、傷つけることを恐れてちゃダメだ。その先に、大崎先輩の探す答えがあるんじゃないんですか?”

まったく…。その通りじゃん。
あたしのことを理解してくれて、支えてくれる人の存在を改めて感じた今、あたしに恐れることなんてない。

窓から差し込む月明かり。
月明かりに照らされた二つの写真立て。一つは立てられ、もう一つは伏せられたままのそれを見て、あたしは決意を秘めた。