“あたしの気持ちは変わってない”
それならまだ、陽路は阿久津が好きだってことじゃない。まぁ、それは予想内のことだったけど、本人に言われると現実味が増す。
ムカつく…。
せっかく追い出したのに、また陽路はあたしの前に現れた。またあたしの邪魔をするのか…。
礼二、紀彦、治がいない今、あたしの味方なんていない。それを痛感して。
陽路の思い通りになんて、死んでもさせたくないのに、どうしようもできない自分がもどかしい。
歯痒い思いに、唇を噛み締める。
「何なのよ…っ!」
一人悪態をつくあたしの声だけが、虚しく厨房に響いた。