「はは…。あたしにそんなこと言っていいのかしら?」
頬を引き攣らせ、これ以上ないって程の笑顔で雅樹に微笑んでやる。大抵の人の場合、無駄に怖いって言ってこれで謝ってくるんだけどコイツは違う。ちょっとやっかい…否、何を考えてるかわからない分、余計タチが悪い。
「アレ?ダメですかね?」
「……。」
コイツ絶対、あたしのこと先輩だって思ってないよ?!ニヤニヤと笑う雅樹に殴りかかってやろうかと思ったけど、部長村田晴人の斜め横からの視線が痛くて諦めた。
「大崎先輩、そろそろ練習再開するので、試合のスコアつけていただけますか?」
「ん。いいよ。」
そう言った彼は、まるで天使のように穏やかな笑みをあたしに向けた。そして、「始めるよ。」と呟き、全員を引き連れてコートに戻っていく。
海星のテニス部では、毎年二年生が部長をやることになっていて、晴人もまだ部長になって間もないのに。
この統制力、良い意味での威圧感、
さすが晴人だと心の底から感心した。

