宿舎に入り、厨房へと足を向ける。
やっぱり室内は涼しい。
静かな宿舎のロビーに、あたしの足音だけが響いた。
そして厨房に近づくにつれ、中から声が聞こえることに気が付く。佐伯さん一人じゃないのかな?なんて不思議に思いながら、ゆっくりとドアを開けた。
すると、目に映るのは佐伯さんと、陽路。
調理台の上に置かれた、カットされた肉や野菜。
「あら?秋田さんも早かったのね。」
「あぁ、はい。」
前掛けで手を拭いながら、佐伯さんはあたしにほほえむ。でもこの様子だと、もう準備は終わってるようだ。
ラッキーと思う気持ちと、陽路に先を越されたと思うワケのわからない気持ちが交錯した。

