「なぁ…」


寿也があたしを見据え、再び口を開いて。


「アンタの気持ちは今、どこにあんだよ!?どうして…、どうして自分に素直になんねぇんだよ!!」


そう言い放ち、寿也は席を立ってドアに向かう。あたしにはその後ろ姿を見つめることしかできなかった。今の寿也の言葉が、深く深く胸に突き刺さる。胸が、心が痛い。

そして寿也はドアの前に立ち止まると、ゆっくりとあたしの方に振り向いた。


「阿久津先輩の代わりになれなくて…、スミマセンでした。」


それだけ言って、寿也は寂しげな微笑を浮かべる。刹那、あたしが引き留める間もなく部屋を出ていってしまった。パタンという、ドアが閉まる音だけがただ虚しく響いた。