ドアの前で数回深呼吸を繰り返し、気持ちを落ち着ける。そして三回ノックしたとき、ドアが開いて恭汰が顔を出した。
「寿也、いる?」
「いるぜ?ってか中入ってください。俺たちはとりあえず退散するんで。」
そう恭汰に促されて部屋に入る。
“俺たち”っていう言葉に引っかかっていたけれど、その疑問はすぐに解決した。部屋に備え付けてあるソファーには、寿也のほかに純と蓮の姿もあったから。
「沢村、桑井、行くぞ。」
そう言って蓮は、読んでいた文庫本をテーブルの上に置いて立ち上がる。そして部屋を出ていく彼の後ろに、純と恭汰が続いた。
「…ちゃんと話し合ってな。」
すれ違いざま、恭汰があたしだけに聞こえるようにそうささやく。あたしは小さくうなずき、背後でドアが閉まる音を聞いた。

