何かを考えるような表情を浮かべ、塚本は第一コートに近づく。そして渡部に声をかけた。


「渡部。朝食を一緒にとっていたようだが、阿久津を知らないか?」

「あ?さあな。だがきっと、一番大切な人のそばにいると思うぜ?」

「…だいたいわかったが、その説明、だいぶ抽象的だな。」


間違いない…。

阿久津は今、陽路のところにいる。今の会話で、そう確信した。


「ふん。にしても、時間は教えといたんだがやっぱりダメか…。悪いが、慈朗抜きで練習してくれ。今はアイツを気にしなくてもいい。」


………は?
渡部の言葉に耳を疑う。気にしなくていい訳ない。普通、居場所がわかってんなら引きずってでもつれてくるでしょ?

どうしてそんなに、陽路たちの関係を守ろうとするのよ…?