「ずりぃだろ寿也!何抜け駆けしてんだよ!?」
あたしが一人部室に向かっているとき、だいぶ近くなってきた部室から恭汰のであろう大声が聞こえてきた。
こんな大声でまた喧嘩してんのかと思うと、いつものことながらあきれてしまう。
っていうか、“ずりぃだろ”とか“抜け駆け”って、一体何のこと話してんのよ?なんて思いつつ、あたしは目的地までの歩を早める。
喧嘩だったら止めないと…。
内容がくだらないだろうから、聞いてるこっちが恥ずかしい。
部室前に着き、勢いよくドアを開けると、案の定言い争いをしているいつもの二人がいた。
予想通りの展開にさらに呆れたあたしは、これ見よがしにハァっと大きなため息をもらした。