「渡部!陽路ちゃんは…?」
そう問いかけた俺に鋭い視線を向けると、渡部はゆっくりと口を開く。
「…今は崎村先生の部屋にいるそうだ。詳しいことは俺も知らねぇ。」
「そっか…。」
しばらくして出入り口の方から、姿が見えなかった海星の三人が姿を現した。崎村先生を囲む輪の中に入るやいなや、村田君が崎村先生に問いかける。
「崎村先生、大崎先輩は…?」
「あぁ。たいしたことないさ。今はだいぶ落ち着いてる。ところで、大崎には過呼吸のクセがあるのかい?」
崎村先生の問いに、海星メンバーは顔を見合わせた。そして沢柳君が口を開く。
「もしかして大崎先輩、過呼吸になったんですか?」
崎村先生が「あぁ。」と短く答えると、何ともいえない沈黙がこの場を包み始めた。