「村田君、寿也!陽路先輩が…っ!」


ダッシュで走ってきたからだろう、かなり息を乱し、膝に手をおいて肩で呼吸しながら話し出す沢村先輩。

ってか…、陽路先輩がどうしたっていうんだよ?一抹の不安が脳裏をよぎる。


「陽路先輩が、陽路先輩が倒れた…!」


―――な、に…?


「沢村、どういうことだい?」

「まだよくわかんねぇけど、とりあえず今は崎村先生の部屋に連れてかれたみたいだ。」


二人が交わす会話も、全然理解が追いつかない。ただ真っ白になっていく頭に「寿也!何やってんだよ。早く行くぞ。」と言う村田部長の声だけが響く。

村田部長に続き走り出した俺の中に生じたのは、陽路先輩は俺のせいで倒れたんじゃないかという、そんな漠然とした不安だった。