どうしようもなくて、何とも言い表せない気持ちを抱えながら村田部長と歩く。明るい朝日の中で少し冷たい風が、俺たちの間を通り抜けた。

コートを囲む高めのフェンス。そこに寄りかかって腕を組むと、村田部長は俺と視線を合わせる。いつもの笑顔はそこにあるのに、今日は目が笑っていない。


「…いつまでもそんな顔してると、いい加減俺も怒るよ?」


穏やかながらも反論をさせない威圧的な言い方。「スミマセン。」と呟き、俺はただうつむくしかできなかった。

はぁっという村田部長のため息が、やたら大きく聞こえる。そして村田部長が再び口を開きかけたとき、宿舎の方からこっちに向けて走ってくる赤茶色い頭を目の端で捉えた。