「だから!何で沢村先輩が陽路先輩のウインドブレーカーと膝掛け持って、ここで寝てたんスか?!」

「それはさっきも言っただろ!カードキー忘れて部屋入れなくなって、お前ら起こすのもわりぃからここで寝ようとしたとき、陽路先輩が親切に貸してくれたんだよ。」

「じゃー、何で夜中に部屋出て陽路先輩と会ったりしてんスか?」

「だから、たまたまだって言ってんだろ?」


そんなキリのない会話を続ける二人を遮るように、あたしは「ストップ。」と声を出した。その刹那口論は止み、二人の視線があたしに向けられる。


「陽路先輩…。もう俺、自分が、訳わかんねぇ…。」


寿也が悔しそうにそう呟いた声が、やけに大きく聞こえた。