そういえば恭汰、大丈夫だったかな?そんな不安が生じ、自然と歩を進めるのが早くなる。
すると階段を降り始めたところで、階下から話し声がすることに気がついた。

その場に立ち尽くし、聞こえる声に耳を傾ける。何を言っているかはわかんないけれど、その口調から何だか少しもめてるらしいことがわかった。さらに聞き続け昨日の出来事と結びつけると、誰と誰が話しているかということが、だいたい予想できて。

その予想が確信に変わったとき、あたしは一階多目的ホールに急いでいた。

きっと、もめているのは寿也と恭汰。
恐らくは寿也が、多目的ホールで寝てた恭汰と、このタイミングで鉢合わせちゃったに違いない。

階段を降りきり、多目的ホールに目を向けると、案の定イスに座ったままの恭汰を睨んでいる寿也がいて。恭汰が浮かべる困り果てた表情が、寿也の困惑ぐあいをあたしに知らしめた。