さっきの恭汰の問いが鮮明に思い出され、頭の中を反芻する。

“寿也のこと、嫌いなのか?”

“凌葉に戻りたくなった?”

“じゃあ最後。慈朗のことがまだ好き?”

最後の問いにあたしが答えたとき、傷ついてしまうのは誰?あたしが裏切ってしまうのは誰?

でも再び動き出した想いは止まらない。否、止まることを知らない。
あのとき感じていた寿也を好きだという気持ちに、なんのウソも隔たりも無かったのは事実だ。今もあのときと、気持ちは何も変わっていない。

でもあたしの中の、封じ込めたはずの想いが息を吹き返したのもまた事実。

そんな事実の中で、深く深く胸に刻みつけられる真理は、ただ、あたしが“最低”だということだけだった。