眠れない…。

今は余計なことは考えず、無事に合宿を終えることだけを考えてればいいのに。

あたしはそっとベッドから抜け出すと、できるだけ音を立てないように部屋を出た。

足音を殺し、暗くなった廊下を歩く。さっきまでうるさかった部屋も、練習で疲れたんだろう、今ではみんな寝静まっているようだ。

足下に注意して階段で一階まで下りると、自動販売機の光によって明るくなっている多目的ホールのいすに腰掛けた。

自動販売機の機械的な音を聞きながら、ただ思う。あたしは今、自分がどうすべきなんだろうって…。

思考に耽る中、自然と涙がこぼれ落ちた。どうせ誰もいないし、泣いたっていいよね。みんなの前では、笑ってればいい。

そう思うと、涙はなぜか止まらなくなって。何で自分が泣くのかもわからないまま、ひたすら涙を流す。でも刹那、階段から聞こえてきた足音に、ビクッと肩が揺れた。