「陽路先輩にとって木原は、慈朗の代わりってことですか?」
一見単純そうだけど複雑で、何よりも残酷な推測。何とも言えない沈黙が俺たちを蝕む。でも逆に、その沈黙が俺の問いを肯定してるようにも思えた。
「…そんなわけ、ないじゃん。寿也は慈朗の代わりなんかじゃない。」
まるで、自分に言い聞かせるようにそう呟いた陽路先輩。震えている声から、陽路先輩の気持ちが伝わってきそうだった。
「…そうですよね。長くなってしまってすみません。じゃあ俺、部屋に戻ります。」
「…うん。」
その場にいるのが気まずくなった俺は、まるで逃げるように陽路先輩に背を向けた。ただ後味の悪さが、俺の中に残る。