「…泣くほどツラいなら、いい加減頼れっつーの。」
大きくため息を吐いたかと思うと、寿也は一言そう零す。
その言葉を聞き終えたとほぼ同時に、温かな体温に包まれて。寿也に抱きしめられたと理解するまで、ほんの数秒。
寒空の下、不覚にも寿也から伝わる体温が心地良いと思ってしまうあたしは、愚かで最低で自分本位だと、改めて実感する。
それでも、止まることを知らず、さらに流れ出る涙が、徐々に寿也のジャージを濡らしていった。
「俺、こんな弱々しい先輩の姿、見ていられねぇんだよ…。陽路先輩にこそ、笑っていてほしいんだ。」
強まった抱きしめる力に、同時に紡がれた寿也の言葉に、あたしは甘えていいのだろうか。
頼りたいと思うと同時に、まだ過去にとらわれ、恐れているあたしがいた。

