君を守りたい


「…あ、あたし、慈朗を裏切るようなことしてる。もう忘れなきゃと思って、それで…」


自分の太股の上に置かれた両手を強く握りしめ、うつむく。わなわなと小刻みにふるえるその様子を見て、またイヤな予感が胸をよぎった。


「裏切るようなことって、何のことですか?」


どんなにイヤな予感がしても、聞きたくなかったとしても、やっぱり聞かずにはいられねぇ。俺がそう尋ねると、陽路先輩はうつむいたまま、少し間を空けて言葉を紡いだ。


「………あたし、今、木原寿也とつきあってるの。」


つきあってるって…。

一瞬耳を疑った。外界からの音が一切遮断されたような、そんな感じがした。

だがそれよりも、忘れようとしなきゃならねぇ理由って何だ?
ずっと陽路先輩を待っていた慈朗はどうなるんだよ?