君を守りたい


『渡部ー。陽路ちゃんと別れちゃった…。俺、フられちゃったんだー…。』


陽路先輩と慈朗が別れたという日、夜中近くにかかってきた慈朗からの電話。

鼻をすすりながらの少しこもった声に、電話越しからも慈朗が泣いてる姿を想像できた。


『またねって言ってたのに。どうして陽路ちゃんはいないの?何で?ずっと一緒にいれるんじゃなかったの?ねぇ…渡部、教えてよ!』


陽路先輩が姿を消した日、みんなが暗い表情を浮かべた沈黙の中、慈朗だけはその場に不釣り合いな笑顔で、泣きそうな顔をしながら俺に詰め寄った。

俺たちだって十分ツラくて、無力さを嘆いていたんだ。だがそれよりも、慈朗の陽路先輩に対する未だ変わらぬ気持ちを知っていただけに、あのときの慈朗のショックは相当なものであったと、容易に想像できた。