君を守りたい


陽路先輩が唇を噛みしめる。
辺りには自動販売機の、ジーっという機械的な音だけがやけに大きく響いていた。


「……あたしにはもう、凌葉に帰る資格なんてない。戻れない…。」


不意に紡がれたのは、ある程度想像していた答え。

でも“資格”?そんなの関係ねぇし、必要ないだろ。俺から視線をそらすようにしてうつむいた陽路先輩の姿に、陽路先輩が突如として姿を消したあの日のことが、鮮やかに思い出された。

自分たちの無力さを悔い、大切な人を失った、あの日のことを…。


「あたしはさ、本来、もうみんなの前に出てきちゃダメだったのよ。すべてはあたしが決めたこと。それが、あのときのあたしがあんたたちにできた、最大限のことだった。」


…よくわかんねぇ。
“最大限のこと”って何だ?
“あんたたちにできた”ってどういうことだよ?

言葉が意図することを理解できず、眉根にシワが寄ったのが自分でもわかった。