「…それより圭。普通に練習してたけど、足はもう大丈夫?」
暗くなった空気を払いのけるように、陽路先輩は努めて明るく俺に問いかける。
足…。階段で突き飛ばされたヤツのことだろうな。
「大丈夫ですよ。そんなにヤワじゃねぇ。」
「そっか♪そだよね!」
俺の返事に、安心したかのようにほほえむ陽路先輩。その笑顔を見ると、胸が締め付けられるような気持ちになった。
だってあのとき、俺たちにもっと力があったなら、彼女は今も凌帝で笑っていられたのに。
俺たちもずっと、陽路先輩と一緒にいられたのに。
お互い、何も失わずにすんだのに。

