「陽路も少し、素直になればいいのにね…。」


そうつぶやいた藍前の声が、俺の耳にやたらとリアルに響いた。
そのあとはどちらも口を開かず、沈黙が俺たち二人を支配し始める。重たい空気が俺たちを包んでいる中、俺はゆっくりと立ち上がった。


「寿也君と涼夜君!もう、第二グループの練習は終わるみたいだよぉ♪宿舎戻ろ?」


秋田先輩の、耳障りで高い大きな声がその沈黙を破る。見るだけなら可愛い笑顔が、俺たちを強く見つめていた。


「ね?早く〜…」


一向に動き出さない俺たちに業を煮やしたのか、秋田先輩は俺と藍前の腕にしがみつくようにしてくっつき、引っ張っていく。

ってか…、くっつかないでほしいんスけど。マジで。ホントに俺、この嘘らしい演技、ムカつくんだよ。