茫然自失で、コートに座り込んだまま動く気さえも起きない。だってあの人が…、あの人が陽路先輩の元彼…。
っていうか恐らく、未だに二人はお互いを想い合っているのだろう。さっきの二人を思い出すと、そんな感じさえする。
せめて阿久津先輩が、すっげーイヤな奴だったなら、遠慮なしに行動できたのに。あんな良い人で優しくて、非を咎められるとこなんて何一つなくて。
俺は今、陽路先輩の彼氏だってことに、どうしても自信が持てなくなっていた。
それだけに留まらず、俺の不注意で怪我させちまったし…。
…こんなこと考えてたら、きりがねぇよ。
そんな俺の肩に、ポンと手が置かれる感覚がある。不意に視線を上げると、手当を受ける阿久津先輩の方に視線を向けた沢柳先輩が俺の横に立っていて。
「沢柳、先輩…。」
「情けない顔をするな。何を考えてるかぐらい、だいたい予想がつくが、全てはお前次第だろ?」
俺次第…。
確かにそうなんだ。けど。
沢柳先輩に向けて微かに頷きながらも、俺の胸中は複雑な想いを整理しきれないでいた。

