君を守りたい


「阿久津さん…。ハッキリ言って、全然大丈夫じゃないでしょう。」


向こうのコートから阿久津先輩に向けて放たれた声。ふと視線を移すと、額に右手を当て、さも呆れた表情を浮かべた吉山が俺たちを見下ろしていた。


「肘とか膝、血出てるじゃないですか。」

「こんなの大丈夫だってば。」


そんな会話が二人の間で交わされ、俺は改めて阿久津先輩の手足に目線を移す。すると、確かに肘や膝から血が滲んでいて。俺がその怪我を見つめていることに気がついた阿久津先輩は、もう一度俺にほほえみ、ゆっくりと口を開いた。


「練習中の事故だよ。俺も周りへの注意足りなかった訳だし、木原のせいじゃない。」


それだけ言った阿久津先輩は、塚本さんや吉山に肩を借りながら、救急箱を用意して待っていた秋田先輩の方へ向かう。その後ろ姿に、あらゆる面で明らかに俺は阿久津先輩には勝てない、そう改めて感じた。