君を守りたい


雑念を懸命に振り払い、前衛の阿久津先輩の動きに応じて俺も動く。っていうか、さすが阿久津先輩だ。強豪校である凌葉のレギュラーであることを確信づける、ダイナミックなプレーで魅せる。俺も、負けてらんねぇ。


「…っ、おい!寿也!」

「え…?」


いきなり聞こえた沢柳先輩の声。
刹那、それとほぼ同時に感じた体への衝撃。気がつけば、目の前には青々とした空が広がり、足下には俺と同じような体勢の阿久津先輩が転がっていた。

今の状況を理解するのに、それほど時間はかからなかった。…だってほら、少し考えればちゃんと説明はつくだろ?

ちゃんと周りを見てなかったせいで、俺が阿久津先輩に突っ込んでしまっただけ。

駆け寄る、数人の声や足音が聞こえる。横に転がるテニスボールの色が、やけに夕暮れのコートに映えていた。