「あ。塚本部長〜。誰と誰が組むのを試してみたい、とか、何か指定あるんすか?」


刹那、急に聞こえた声の方に、沢柳先輩の方から視線を移す。すると、明春の城田が右手を挙げながら、塚本さんに質問していて。


「いいや、特に指定はなかったんだが…。どうせやるなら指定するのもいいだろう。沢柳、何か案はあるか?」


塚本さんの鋭い目が、メガネ越しに沢柳先輩を捉えた。沢柳先輩は一呼吸おいたあと、静かに口を開いた。


「…そうだな。うちの木原と凌葉の阿久津ペアと、明春の城田と凌葉の吉山ペアでやるのはどうだ?意外な組み合わせだし、得手不得手を考慮しても、戦力的には悪くないと思うのだが。」


………は?って、え、ちょ!
何言ってんスか?!沢柳先輩!
よりによって何で俺が阿久津先輩とー…

意外も何も、絶対わざと俺たちをペアにしたに違いない。もちろん俺に、阿久津先輩への一方的な確執を克服させる為に。