「あの…っ、美香先輩。教えてくれてありがとうございます。」
あたしに礼をしながらそう言う桃。あたしは申し訳なさげに、小さく首を横に振った。
「ううん。結局美香は何にもしてあげられないよ。ただ、前に美香も陽路に彼氏とられたし、イジメられたりしてて、愛加や桃には同じ目にはあってほしくなかったから…。」
そこまで言った後、言葉に詰まるようにして瞳に涙をためる。もう特技と言っていいくらい、そういうのは得意になってしまっていた。
ってかあたし、やっぱり嘘上手だよねぇ♪
目の前の愚かな二人は、あたしの言葉をまた、しっかりと信じてくれたようだ。
「そんなことするように見えないのに。」
「美香先輩、ツラかったですよね…。」
紡がれるあたしを想う言葉に、コクンと小さくうなずいた。