「ただ偶…、」
「……逢い引きッスよ。」
「は?!」
無難な言葉を紡ごうと口を開いたあたしを遮るように、うつむいたまま、とんでもないことをサラッと言ってのけた涼夜。
まったく…、何考えてんの?っていうか、何したいのよこの子は!
「嘘だよ?だからほら、早くコートに行こう!ね?」
苦笑いを浮かべ、あたしは愛加と桃の背中を押して玄関に向かうように促した。ふんっとか言ってる涼夜は、今はとりあえず放っておく。
そして後ろを振り向き、美香を呼ぼうとすると、ちょうど美香が涼夜に何かささやいていて…。てか、ここからじゃ聞こえない。ヤバい。
とりあえず早く、美香と涼夜を離さなきゃ…
「美香っ!行くよ。」
「あ、うん♪」
怖いほど素直にこっちに振り向いた美香は、いつになく不適な笑みを浮かべているような気がした。
美香のこの笑顔は危険、そんな感じが胸に渦巻いた。