高鳴る胸の動悸を静めようと、目を瞑って深呼吸を繰り返すけど。静まるどころか、余計動悸は激しくなって…。

何しろ、約三年ぶりに会う彼ら。
二人の陰からこっそりとうかがえば、身長も高くなっているみたいだし、あの頃よりもたくましくなっているのが見てわかる。


「…大崎先輩。」


そう呼びながら、雅樹が訴えかけるような目線をあたしに投げかけてきた。今この状況で、雅樹が何を言わんとしているか、だなんて、そんなのわかりきっているから。

あたしは小さく首を縦に振り、二人の陰からそっと抜け出る。刹那、ずっと聞きたかった声があたしの耳に届いた。


「…っ! 陽路ちゃんっ!!」

「陽路先輩!」

「大崎先輩!」


ホントはずっと会いたくて。
あんたらのことを、あたしが忘れられる訳なんてなくて。
あたし自身、忘れられたくなかった。

もう会えない…否、もう会わない、そう覚悟までしていたあたしの大切で守りたかった人達が今、あたしの目の前にいる。