君を守りたい


思わず唇を噛みしめる。
俯いた先にある手元のプリントは、すでにくしゃくしゃになってしまっていた。


「大崎先輩。一つ聞いてもいいですか?」


刹那、バスに乗ってから一言も発していない雅樹が、何を思ったのかいきなり話し出す。それにしても、“一つ聞いてもいいですか”だなんて、雅樹はあたしに何を聞きたいんだろ?「いいよ。」と短く答えると、彼はゆっくり口を開いた。


「今の大崎先輩を見て話を聞いている限り、阿久津を嫌いになったわけではなさそうですね。じゃあ何で、阿久津と別れたんですか?その秋田先輩と関係が?」


興味なさげなフリして、ちゃんと話を聞いてるんですね。っていうかあたし的に、さっき以上に答えたくない質問だ。鋭すぎてイヤになるけれど、伝わってくる真剣さに、さすがにだんまりを決め込むわけにはいかない。

あぁ、もう。寿也の視線も痛いよ。