「それ、言わなきゃダメ?」
できれば、言いたくない。今は伏せておきたい事実…。
だけど、横の寿也を見てから後ろのみんなを見渡してみれば、雅樹以外は何気なく気にしているようで。晴人の有無を言わせない笑顔があたしを見つめていた。
いつの間にか言うしかないという雰囲気に包まれ、あたしは盛大なため息をつく。そして「阿久津慈朗…。」と、ぼそっと呟いた。
凌葉でも戦力の慈朗。
海星のレギュラーたちが知らない訳がない。試合だってしているし、数回練習試合だって組んだこともある。しかも、恭汰とは地味に仲良いみたいだし。
…っていうかあたし、今まであまり思い出さないようにしてたのに。僅かなきっかけに、思い出が堰を切ったように溢れ出す。
あたしを一番支えてくれて、つらいときはずっと抱きしめてくれた。
優しい笑顔で包んでくれて、あたしを理解してくれた。
忘れられる訳ないのに忘れようとして、お互い好きだったはずなのにあたしが別れを告げた。あたしが傷つけた。
ホントは大好きだったのに。
別れたくなんて、なかったのに――…

