君を守りたい


「前にも言った通り全部を無理に聞こうとは思ってないスけど、この合宿中に陽路先輩がまた傷つくのは見たくないッスから。」


やっぱり優しいね、寿也は…。
確かに今後のことを考えれば、寿也にも少しは話しておいた方がいいのかもしれない。


「ありがと。…――あたしさ、中学の途中まで凌葉にいて、男テニのマネしてたんだ。」


ただバスが走る音しかしない車内、誰一人として話さない中、あたしの声がやたら大きく聞こえる。
あまり景色の変わらない車窓に、あたしは視線を投げた。


「楽しかったんだよ。毎日がスゴく。後輩たちも、あたしを信頼してくれてたし。でも三年になってさ、新しく入ってきたもう一人のマネに、あたしの日常は壊されちゃった。」


言葉を紡ぐ度、悔しい思い出が鮮やかに思い出される。あたしはうつむき、持っていたプリントを握りしめた。