君を守りたい


不安は波のように押し寄せるけど、あたしはやるしかない。もう引き下がれない。後ろを振り向いてはいけない。
過去と決別する、いい機会なんだから。


「…陽路先輩、横、いいッスか?」


プリントを眺めながら唇を噛みしめていたあたしは、頭上から降りかかる声で目線を上げた。すると、寿也があたしににこりとほほえんでいて。


「ん、あぁ。いいけど…。」


あたしがそう答えると寿也は「じゃあ失礼しまーす。」と言いながら隣に腰掛け、ゆっくりとあたしの方に顔を向けた。

――あぁ、この雰囲気…。スゴく何か、聞かれそうな予感がする。


「…こんな時に聞くことじゃないかもしれねぇけど、俺、やっぱり先輩が何に悩んでるのか知っておきたいッス。」


予感を裏切ることなくそう言い放った寿也の顔からは笑みが消え、真剣そのものの瞳があたしを見据えていた。