学校で泣かなくて、よかった…
久しぶりに涙なんて流したけれど、やっぱり学校で泣くわけにはいかない。部活で涙を見せるなんて、もってのほかだ。

ただでさえ二年生たちには、あたしのせいで気を使わせている。あたしが海星に来たときから、彼らは凌葉でのいざこざをある程度把握して、あたしを支えてくれていた。

今までの大会とかでも、あたしが凌葉と関わることの無いように、何かと手を回してくれたりもして…。

でも今回は、避けることのできないイベント。またあたしはあのことに、向き合わなければならないのか…。

そんなことを考えていると、静かな部屋に携帯のバイブ音が鳴り響いた。
突然の音に驚きつつ、サブに表示された名前を見る。そして小さく息を吐くと、あたしはゆっくりと通話ボタンを押した。