「ま、そういうことで、あたしはもう部活行くからぁ。さっさと決断するのがあんたのためでもあるし、みんなのためよ。」
うふふっと笑い、美香は教室を出ていく。それを追いかけることもせず、あたしはただ立ち尽くしていた。
唇を噛みしめ、両手を握りしめる。ただ自分が無知で無力で、お荷物的な存在だったことをしみじみ感じて。
“大崎陽路は有能なマネ”
柊先生を中心とした周囲の人たちからそう言われることに、少しうぬぼれていたのかもしれない。
あたしのどこが有能なの?
あたしはマネとして、ちゃんと部員のサポートができていたの?
どの問いも今さら過ぎて、自嘲の笑みが零れた。
あたし一人残された、静かな教室。
そんな教室をあとにして、あたしも部室に戻ることにした。小綺麗な校舎、あたたかい光が優しく降り注ぐ中、松葉杖をつく音がやけに大きく響いていた。

