緒太の話しを簡潔にまとめれば、圭が誰かに階段で突き落とされたらしい。
柊先生に呼ばれ、一人で職員室に向かっている最中の出来事のようで。あまりにも予想外なことに、さすがの圭も対応しきれず、犯人の顔さえも見ることは不可能だったらしい。
そして自力で保健室へ行ったのはいいけれど、今は念のため病院に連れて行かれたみたいで。
「渡部さん、怪我、大丈夫でしょうか?」
「阿久津さんも出れないし、渡部さんもいないなると、団体戦キツいな。」
緒太の言葉に、そう貴司がつぶやいたのが聞こえた。その会話に、隣の健が大きくうなずいたのが見える。
でも、こんなタイミングで圭まで怪我するなんておかしい。緒太の話を聞きながら、あたしにはある考えが浮かんで。松葉杖を掴み、彼らに「ちょっと用事あったの忘れてた。」と言ってから部室を出た。
もちろん、その考えの真偽を確かめるために――…