君を守りたい


「自分は平気で人にやるくせに、やられるのにビビってんじゃねぇよ。」


そう言われても気にせず、懸命に立ち上がろうとするも、もう少しというところで治に押されて立ち上がれない。

どうやらあたしの足の怪我が悪化していることに気づいた治は、いきなり立ち上がり、にやりとほほえんだ。


「逃げれるもんなら、逃げてみれば?」


刹那、聞こえた鈍い音と重く響く激痛…。
治にアキレス腱を思い切り蹴られたと認識するまで、一秒もかからなかった。あり得ないくらいの痛みが、あたしを襲って…。

周りの音も聞こえない。見えない。痛い。先程よりも歪む表情に、一瞬、外界との繋がりが一切遮断された。


「美香を泣かすんじゃねぇよ!」

「うっ…!ゲホッゲホッ…」


治の大きな怒声によって、引き戻された意識と思考。その刹那、あたしに放たれた拳に思い切りむせ返る。

あの日を思い出すようなみぞおちへのパンチに、体に力が入らなくなり、あたしはその場に横たわった状態になった。