君を守りたい


「俺たちが来たから、もう大丈夫だって。な?」


そう言いながら、美香を落ち着かせようとする紀彦。嘘泣きなんだから、そんな必要、まるでないのに。

そんな中、不意に立ち上がった治を見上げると、恐ろしい表情であたしを睨みつけていて。

形容しがたい、狂気じみたものが治から発せられている。…何かスゴくヤバい気がするのは、あたしの気のせい?否、コレは気のせいじゃない。確実にヤバい。

そんな風に考えるあたしを知ってか知らずか、治は一歩一歩あたしに近づいてくる。踏みしめるような、ゆっくりめな歩調。

逃げなきゃって頭ではわかってるのに、体が反応しない。だんだん縮まる距離に、焦りは増す一方で……。

やっとのことで動いた体も、足の痛みに耐えきれずにバランスを崩し、再び地面に倒れ込んでしまった。