つまりはあたしに、早く部活をやめろというわけだ。あと少しで引退だし、来月には中体連があるっていうのに、今のこの時期にやめられる訳がない…否、それ以前に、あたしにやめる気なんてない。


「誰でも美香の思い通りになると思ってたら、大間違いだよ。あたしはあんたに、従う気はない。」


あたしがそう言い放つと、美香はふっと笑みをこぼす。まるであたしが、そのように言うことをわかってたとでもいうように…。


「あっそ。どうぞご勝手にぃ。でも陽路があたしに刃向かうことで、あんたの大事なヤツらがどうなるかは知らないけどねぇ。」


美香はそう言い、高らかに笑った。
でも不覚にも、美香の言葉に傷だらけの自分の体を思い出してしまった。そんな自分の姿が、大切な後輩達に重なる。

……それにしても、美香はなんて汚い女なの。自分のためなら何でもするなんて。

どうすることもできないあたしは、ただ両手を強く握りしめた。